奈良漬は、野菜の漬物の中で別格の存在だと個人的に思うのです。
あの芳醇な香りと歯ごたえの良さ、深い色合いは、
なかなか他の漬物にはない高貴さがあります。
今も食べたくなってきました(^^)
でも、奈良や兵庫などの関西の本場に比べると、こちらではそれほど
浸透していないように感じます。
そもそも、漬け物自体を食べない人が増えているらしいのです(*_*;
お米離れ、和食離れが影響していると思いますが、やはり減塩志向の風潮が大きいのでしょう。
もちろん塩分は控えめのほうがいいのですが、このまま日本の伝統的な漬け物を知らない世代が
育ってしまうのは寂しい。
(私のような年代になると後世に伝えたいことがたくさん出てくるのです。)
そこで、奈良漬なら減塩志向の方にもおすすめ出来るのではないかと思いました!
あまり知られていないのですが、奈良漬は、漬け物の中では塩分が少ないほうなのです。
酒粕にはもともと塩分が含まれていませんし、塩漬けした野菜の塩分は、年月とともに酒粕に移っていきます。
何年も漬け込まれた老舗店の奈良漬は、塩分がかなり少ないそうですよ(^^♪
ただ、きちんとした製法で作られている商品を選ぶことが大切になります。
あと、アルコール分が高いので、体質的にお酒が飲めない方や妊婦さんなどはお気を付けください。
まずは、奈良漬とはどんな漬物?という方のために、簡単に作り方をご説明しますね(^.^)
【代表的なうりの奈良漬】
①うりを半分に切って、種をくりぬく
②うりの重量の20~25%の塩で下漬けをして水分を抜く
③うりを取り出し、水気をふいてから酒粕に漬ける
④新しい酒粕で漬け直していく
手順は簡単なのです。
上記の基本レシピに、お店によって、塩蔵期間をもうけたり、途中に天日干しをしたり、
酒粕に調味料を混ぜたり、細かな違いがいろいろとあります。
大切なポイントは、奈良漬と称するには④の新しい酒粕で何度か漬け直していくことが必要となります。
酒粕で短期間漬けるだけなら、うりの粕漬けですからね(^.^)
本場の奈良では、たくさんのお店がありますが、
その中で、ネルコネコ一押しは、今西本店さんの奈良漬なのです!(^^)!
風味が素晴らしく、歯触りもいい。
何にしてもこの存在感はいかがでしょうか↓

(今西本店さんホームページから借用)
こちらでは、うりで3年、きゅうりで6年、すいかは5年漬けたものが販売されているのです。
もっと長く漬けられたものも売られています。
奈良に旅行に行ったときに、お店のご主人にお話をお伺いしました!
まずお店に入るとパワフルに説明をしてくださいますから、心しておいて下さいね(^.^)
私は奈良漬を作っているので、分からない点を聞いてみましたら、
気軽に教えてくださり大変助かりました!
そして奈良漬の現状もいろいろと教えていただきました。
お話によると、本来の奈良漬の方法で漬けているところは本当に少ないらしいのです。
裏付けがないと、この場に書くことができないので、奈良の各店のホームページを見たり本を調べたり
してみました。
(奈良県以外でも奈良漬を作っているお店はたくさんありますが、時間不足で調べられませんでした。)
結果はですね、まずは酒粕と塩のみで漬けているお店は限られてきます。
添加物が入っている奈良漬けも結構ありますね~(-_-;)
漬け込み期間は、やはり今西本店さんが一番長いようです。
唯一、純正奈良漬と認められているお店ということだけありますね☆彡
それなのにお値段が抑えられている。
酒粕を何度も漬けかえていけば、その都度、酒粕代がかかります。
特に今西さんは灘の最高級の清酒粕を使っているそうですし、
長い年月に携わる人件費等を考えましても、このお値段は良心的だと思います。
こういった職人気質のお店が、時流の波に乗らず、必死で踏ん張っているのをみると
心から応援したくなるのです。
奈良漬は一種のブランド品ですから、その名にあやかり、到底奈良漬とは言えない商品を
販売しているお店もあります。
そういったお店が利益を上げますと、せっかく伝統の味を後世に伝えていこうとしているお店が
苦しくなってしまいます。
一人一人の力で、良いお店を応援しましょう!!
まずは、正しい奈良漬の選び方を、私の知っている限りになりますが、お教えしたいと思います!(^^)!
まずは、加工品全般に言えることですが、原材料名の欄をみてください。
美味しい奈良漬は、ズバリ!
うり・酒粕・塩のみが書かれています!
甘い奈良漬が好きな方もいらっしゃいますが、定番のうな重の香の物なんかには合うのですが、
家庭料理に添えると、甘ったるくて2~3切れでお腹いっぱい感が出ませんか。
妙に甘く作られている商品が多いです。
甘みのない奈良漬のほうが、ご飯が進みますし、お酒にもよく合うのです。
今西本店さんにも説明を受けますが、切ってから冷蔵庫で3~5日間置いてみてください。
酒粕の香りが和らいで、本当に食べやすくなります!
どうしても甘い奈良漬じゃないとダメという方は、砂糖やみりん粕を加えたものをお選びください。
でも、みりん粕が引っかかるのですよね。
私は、以前は砂糖を使って漬けていたのですが、砂糖だけで充分美味しかったですし、
みりん粕を入れる必要性がよくわかりません。
酒粕のコストを下げるために、安価なみりん粕を入れるという話もあります。
お店によっては、あえて質の良いみりん粕を入れて味を良くしている場合もあるかもしれません。
実情はよくわかりません(-.-)
でも砂糖の代わりに、ブドウ糖果糖液糖または果糖ブドウ糖液糖を使っているものは
絶対に選ばないでくださいね。(異性化液糖とも書かれる場合があります。)
健康面に悪い影響があると警告されています!
それに、アメリカで有り余っている遺伝子組み換えのとうもろこしから出来ている可能性が濃厚です!
この件は、また時間を割いてお伝えしなければなりませんね。
あと酒精もいけません。発酵を弱めて味を安定させる添加物ですから。
それにアミノ酸等は化学調味料ですし、保存料(ソルビン酸K)とか、もう論外です(-_-;)
という感じで、よく原材料を確認していってください(^^♪
食べ方なのですが、大体の商品には、酒粕を洗わずぬぐってくださいと書いてありますが、
私はきれいに洗ってしまい、水気をしっかりと拭きとります(^^)
柔らかめの奈良漬に限っては、水分が入り込みやすいのでおすすめしませんが、
好き好きでいいのではないかなと思っています。
お店の方には内緒です。
野菜に付いている酒粕は野菜から塩分が移っているのですが、
お店の商品は、袋詰めまたは箱詰めにする際に、化粧粕と言って新しい酒粕を
入れ直すはずなので、塩分は全くないはずです。
一応、ご心配な方は、お店にお問い合わせしてください。
ぬぐった酒粕は、漬物用にぜひ再利用してみてください。
ところで、酒粕のみで漬けられた奈良漬はお近くで手に入るでしょうか?
私の住む地域では、今のところ見当たりません。
通販という手もありますが、高価な奈良漬をしょっちゅう買うのは無理、という方は
手作りするのはいかがでしょうか?
楽しい漬物なんです。
酒粕を変える時は、泥遊びしているような喜びに浸れます♪
失敗するとしたら、カビや虫の混入に気を付ければ、あとは果肉が柔らかくなってしまうことでしょうか。
かりかりっとした歯ごたえが奈良漬の身上ですからね。
大体3年目くらいから要チェックです。
以前、4年目の奈良漬で、忙しくて様子をみない間に果肉がとろけていたことがありました。
ショックでしたよ~
今西本店さんがおっしゃるには、最初の下漬けの塩分が足らない場合が多いそうなのですが、
やはり品種によっても、固さが保てるものと保てないものがあるそうです。
その見極めは素人には難しいところです。
その4年目の奈良漬をすべて失ったのと、毎年作るわけではなかったので、
とうとう、この夏に古い奈良漬を食べ終えてしまいました。
今あるのは、去年仕込んだものだけです↓

農園たそりあさんが育てた無農薬のかりもり瓜を使いました(^^♪
かりもり瓜は、このような青瓜です。

愛知県尾張地域で古くから栽培されており、果肉が緻密で、奈良漬に適した品種なのです。
それにしても、まだ1年もの。
奈良漬の1年なんて、ひよっこみたいなものです。
まだまだ古くしていきたいけれど、かりもり瓜を使うのは初めてなので、
この先、どう変化していくのかわかりません。
それに、もうすでに美味しい、、、。
美味しくて何が悪いんだ?と思われるかもしれませんが、少なくても3年は漬けたいと
思って下漬けの塩分を高くしているはずなのに、1年物でしょっぱくなくて美味しいということは、
さては塩分量を間違えたか?
この後に続く何年もの月日に耐えられるのだろうか???
とまあ、こんな試行錯誤が続いていくわけです、、、。
いつかネルコネコ版レシピを皆様にお伝えすることができればと思っています!
永遠に無理かも?
でも、今の時代はインターネットの情報があります!
結構、レシピが出てますよ!(^^)!
最後に、奈良漬の歴史を、軽く載せておきました。
ご興味ある方はご一読くださいませ。
◇奈良時代
天武天皇の孫である長屋王(~729年没)邸跡から木簡が発見され、
奈良漬の原形となる粕漬けのことが記されていました。
その内容を訳すと「糟漬けのとうがん、なす、ひしお漬けのとうがん、みょうが、以上の四種類の
つけものをお送りいたします」という送り状のようなものです。
◇平安時代
平安中期にまとめられた法令集である「延喜式」(えんぎしき)に、野菜を材料とした粕漬けの記述があります。
◇江戸時代
参考文献:漬物と日本人 小川敏男著
「本田忠勝従軍記」によると、大阪冬の陣に、家康が茶臼山に陣を布いたときに、
近くの茶店の老婆が、天王寺かぶの粕漬けを香の物として出したことが記されている。
この頃から粕漬けが浪速の漬物として有名となった。
「浪華図絵」という書によると、大阪天王寺の北門の近くの六万堂という酒屋が、
蔵元から仕入れた上等な酒粕に野菜を漬けて売っており、浪速奈良漬としてすこぶる評判となったという。
慶長年間に、奈良の中筋町に糸屋宗仙という医者が粕漬け作りの名人で、
大坂夏の陣の際、あしひの杜の徳川家康の陣屋に手製の粕漬けを持参した。
家康はあまりの風味の良さが忘れられず、後に天下を取ったときに宗仙を江戸にまねいた。
宗仙は江戸に出て医者をやめ、奈良漬作りの幕府御用商人となったという。
以上です。
奈良漬ファンが少しでも増えますように。
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